あなたは「スローマッド」という言葉を聞いたことがあるだろうか? スローマッドは、既に注目を浴びている「デジタルノマド」の1つの形態であり、世界中どこでも好きな所で働けるノマドの長所を最大限に活かせるのが特徴だ。
今回はそんな「スローマッド」について、まだ日本語で書かれた記事が1つもなかったため、ぜひ皆さんに紹介したいと思う。
スローマッドとは?
スローマッドとは、英語の slow と nomad の2単語を組み合わせた造語であり、Slowmad または Slomad のスペルが使われる。意味は “Nomadic peoples who make a living while slowly moving and/or traveling.” で、つまり「スローペースで移動または旅を続けながら生計を立てるノマドな人々」となる。
スローマッドがどれくらいスローペースで旅をするかというと、短くても1週間、条件の良い場所には3~4ヶ月ほど滞在し、平均1~2ヶ月ほど1つの国に滞在するイメージだ。
スローマッドは「平均1~2ヶ月」で移動
- 短期滞在:約1~2週間
- 長期滞在:約3~4ヶ月
スローマッドのメリット
デジタルノマドのメリットはもちろん、スローペースで移動するスローマッドは「安定面」で多くのメリットが追加される。
スローマッドのメリット9つ
- 世界中を旅行し続けられる
- 場所にとらわれず、とにかく自由
- ビザの有効期間を満喫できる
- 世界各地に友人・知人ができる
- 文化や言語をどっぷり学べる
- 仕事の時間も確保しやすい
- お財布 (家計) に優しい
- 必要なアイテムを見極めやすい
- 拠点を長期間で人に貸せる
スローマッドは世界中のあちこちで海外生活を楽しめ、実際には日本で暮らすより経済的だ。宿泊費が割安になるうえ、各地の観光名所へも好きな日にローカル料金で行ける。
一方、長期滞在のおかげで現地に暮らす人たちとはどっぷり仲良くなれるし、文化や言語など学べることも多い。プライベートな時間は充実させやすい。
また、スローペースで移動するので仕事時間も確保しやすく、拠点を長期間で人に貸せるため複数の収入を作れる。いつも海外旅行していてお金が増えていく状態が楽に生まれるのだ。
スローマッドのデメリット
もちろん、スローマッドにもデメリットはあるのでまとめておく。ただ、これをデメリットと取るかどうかはあなた次第。気にならないことばかりであれば、スローマッドに向いている。
スローマッドのデメリット7つ
- 旅の計画をし続ける必要がある
- 人との出会いが多い分、別れも多い
- 生活からリズムや季節感がなくなる
- 普通の生活に魅力を感じなくなる
- 一般的な人と価値観が合わなくなる
- 大きな買い物ができなくなる
- お金の使い道が限られる
スローマッドは「長期滞在する期間」がある分マシだが、それでも旅の計画はし続ける必要がある。旅はノマドライフの楽しみでもあるが、常に次の旅の計画をするのは結構大変だ。
また、世界各地で友人・知人ができる一方で、その度に別れが待っているのも事実だ。年がら年中バカンス的生活をしているため、季節感や一般的な価値観はなくなるし、普通の生活には魅力を感じなくなる。夫婦やカップルでスローマッドなら良いが、1人でスローマッドの人はふと孤独を感じることも少なくないようだ。
最後に、ミニマリズムを実践したい人にとってはむしろメリットにもなるが、大きな買い物ができず、お金の使い道が限られるのも特徴だ。家具付きの家やコンドミニアムばかりを転々としていると、自身で必要な物は限られる。
実例!スローマッドの記録
僕たち夫婦の場合、最初から「スローマッド」という言葉を知っていたわけではなく、2人で快適な世界一周のカタチを続けているうちに、自然と「スローマッド」になっていた。
以下では、僕たちが2013年から約3年間住んだバリ島を2016年に離れ、スローマッドとしてライフスタイルを確立させていった旅の記録を実例として紹介する。
2016年:スローマッド1年目
2016年の最初はまだバリ島に住んでいたが、クック諸島や南アフリカなど9ヶ国を回った。長期滞在と短期滞在を組み合わせ、効率の良い旅のスタイルを見つけられた年である。ただ、荷物はまだかなり多かった。
- バリ島約3ヶ月
- ニュージーランド約3ヶ月
- クック諸島約3週間
- モルディブ約1週間
- マルタ島約1週間
- フランス南部約1週間
- パリ約2ヶ月
- 南アフリカ約1ヶ月
- ナミビア約2週間
- ザンジバル島約3週間
- ゴゾ島約2週間
この年に書いた「ニュージーランド長期滞在:3ヶ月の滞在費用をゼロにした方法」の記事は今でも多くの人に読まれており、ここから海外ノマドライフを決意した人もいるのは嬉しい。
2017年:スローマッド2年目
2017年は、10ヶ国を回った。カッパドキアの気球ツアーや乗馬ツアーが印象的だが、世界中あちこちで生活することが完全に定着した。
- パリ約1ヶ月半
- イタリア約1週間
- トルコ約3ヶ月半
- ダハブ約2ヶ月
- 近畿・中国・四国約1ヶ月半
- チェンマイ約2週間
- 京都約2週間
- ハワイ約1週間
- ベリーズ約1ヶ月半
- メキシコ約1ヶ月
- コロンビア約3週間
はじめて行ったハワイが想像以上に長期滞在に向いていたのと、ハワイはレンタカーが安いと分かり、ハワイは次回から長期で滞在しようと決めたのも2017年だった。
2018年:スローマッド3年目
2018年はコロンビアで新年を迎え、南米から回り始めて10ヶ国に滞在した。もう毎年毎年が濃厚過ぎて、普通の生活には戻れなくなった。
- コロンビア2日間
- チリ・トゥンケン約1週間
- チリ・サンティアゴ約1ヶ月
- パタゴニア(チリ・アルゼンチン)約2週間
- チリ・サンティアゴ約1週間
- ボリビア約3週間
- ガラパゴス諸島約3週間
- キュラソー島約2週間
- パリ約3週間
- ダハブ約5ヶ月
- フィリピン約1ヶ月半
- バンコク約2週間
パタゴニアの観光、ボリビアの観光、さらにはガラパゴス諸島の長期滞在も満喫できたので、後半は比較的のんびり過ごした。フィリピンもパングラオ島、セブ、マクタン島をゆっくりと周遊しただけなので、次は秘境に行きたい。
2019年:スローマッド4年目
2019年はまだ途中だが、飛行機やホテルなど予定はもう決まっており、合計14ヶ国。記事が追いついてないのは、本当に申し訳ない……。
- タイ南部約2週間
- ペナン島約1ヶ月半
- 近畿~関東約1ヶ月半
- ハワイ約1ヶ月
- サンフランシスコ約1週間
- パリ約1週間
- ダハブ約4ヶ月
- パリ約3週間
- クロアチア&ボスニア約2週間
- ハンガリー&スロベニア約1週間
- オーストリア&ドイツ約1週間
- モルディブ約3週間
- インド南部約1週間
ハワイとダハブはリピート訪問のため、もはや長期滞在をするのが普通になった。友人たちと定期的に再会できるのも、スローマッドの良い点だ。新規開拓とのバランスが取れている。
後半は妻の拠点のパリからクロアチアに飛び、中央ヨーロッパも周遊する予定だ。5年ぶりに秋を満喫した後は、モルディブとインドへ行くので夏に戻る(笑)。2020年のスローマッドの旅は、きっと東南アジアから始まるだろう。
スローマッドのまとめ
今回は、デジタルノマドの1つの形態であり、僕もおすすめの「スローマッド」のメリットとデメリット、実例などを紹介した。
一般的なノマドとの大きな違いは、ホステルやゲストハウスに泊まる機会が圧倒的に少なく、家やコンドミニアムなどに長期で住んで生活をしていることかもしれない。スローマッドは、カップルや夫婦に向いているのも特徴だ。協力すれば、旅の計画や仕事なども分散できる。
本物のノマドワーカーになって世界中の色々な国を訪れてみたいという人は、スローマッドのライフスタイルをぜひ試してみて欲しい。
もっと詳しい話を聞きたい方や、海外ノマドの相談に乗って欲しいという方は、ぜひ遠慮なくお問い合わせ画面 へどうぞ!