ニュージーランド長期滞在:3ヶ月の滞在費用を 「ゼロ」 にした方法!

ニュージーランドでは羊の数が人の数を上回る

ニュージーランドに長期滞在をする理由は、ニュージーランドが持つ魅力の数だけ存在するだろう。ロングステイで雄大な自然を満喫しつつ憧れのスローライフを体験するのもよし、長期間ネイティブに囲まれながら英語の集中レッスンを受けるもよし。ニュージーランドが日本と真逆の南半球に位置することから、日本で花粉症やインフルエンザが流行る冬の間、ニュージーランドで2回目の夏を楽しむというのも魅力的だ。

しかしながら、海外に長期滞在するための手段というのはワーホリのビザを取得するという以外、方法がなかなか見つからないのが事実である。また当然ではあるが、ワーホリ・ビザには年齢制限があるうえ、何度も繰り返し取得することはできない。ということは、若い頃ワーホリ・ビザを取得するチャンスを逃した30歳過ぎの世代や、もう一度また海外へ行き長期滞在したいという人々にとって、もう二度とチャンスは訪れないのだろうか?

今回のブログでは、僕たち夫婦がニュージーランドに約3ヶ月の長期滞在をした体験をもとに、あまり知られていない「滞在費用ゼロ」でロングステイする方法をお届けする。格安で海外旅行をする方法を探している人にとっては、要チェックの内容だ。長期休暇の多い学生はもちろん、就職前のギャップイヤーを有効活用したい人、早期リタイアをして夫婦で海外生活をしたい人など、多くの日本人にとって有益な情報である。早速、みてみよう。

ニュージーランドに長期滞在するメリット

まずはじめに、ニュージーランドに長期滞在をするメリットについて簡単にまとめておく。

  • ニュージーランドは世界で最も治安の良い国の1つ
  • 3ヶ月以内の観光または留学を目的とした滞在にビザは不要
  • 観光期間中に「訪問者ビザ」を取得すると最長9ヶ月まで滞在可能
  • 日本人にとっても最も馴染みのある外国語「英語」が公用語
  • 雄大な自然に囲まれてゆったりとした穏やかな時間を過ごせる
  • 自動車の運転が左側通行であり国際運転免許証で運転可能
  • 在住する日本人が多く困ったときのサポートなども万全
  • 将来的に永住権を獲得して移住することも難しくない
  • 日本とは真逆のタイミングで春夏秋冬の美しさを楽しめる
  • マオリ族に由来する独自の風習があり文化に富んでいる
  • 豊かな食材にも恵まれクオリティの高い生活を送れる
  • 日本との時差が3時間しかなく日本との連絡が取りやすい

ざっと挙げてみると12項目となったが、もちろん考え方は人それぞれである。この他にもニュージーランドの魅力はたくさんあるはずだ。例えば、こちらの記事はワーホリのことを書いているわけではないため項目には挙げていないが、海外で仕事をしてみたいという人にとっては「ワーホリ・ビザを取得できること」もニュージーランドに長期滞在するメリットの1つとして考えられるだろう。

なお、個人的には自動車の運転が左側通行であることと、治安が良く、豊かな自然と食材に恵まれている点が高ポイントだった。海外で長期滞在を開始するときは、安心して暮らせ、食べ物が美味しいということが重要になるからだ。ニュージーランドには、そういった条件がすべて揃っており、このおかげで、すぐに現地の生活に慣れることができた。また郊外に出ると緑豊かな風景が広がっているため、何というか、居心地の良い雰囲気がある。

長期滞在費用をゼロにする3つの選択肢

しかも、ワーホリビザ不要!

さて、ここからが今回のブログ記事の本題とも言える。通常なら「莫大な費用」が掛かると考えられがちな海外における長期滞在費用を、常識を覆し「ゼロ」にしてしまう方法を実際に紹介していこう。英語を話すことができない人にとって今は難しいかも知れないが、近い将来「コミュニケーションが問題なくできるレベルの英会話スキル」を身に付けたら、ぜひとも活用して欲しい内容だ。3つの選択肢があるので、それぞれを比較してみて欲しい。

1.WWOOF

WWOOF ウェブサイト

1つはまず、WWOOF(World Wide Opportunities on Organic Farms) をオススメする。その歴史は45年と長く、1971年にロンドンで設立されて以降、世界中へと活動範囲を広げている非営利団体である。WWOOF の仕組みはとてもかんたん。働き手を募集する農家の人が「力」を提供してくれる人々に「食事・宿泊場所」を提供することでお返しをしてくれる。お金のやり取りはないため、つまりは「サービスの交換取引」と言える。

WWOOF ウェブサイトには、働き手を募集する農家の「プロフィール」「仕事内容」「人手が欲しい期間」「実際に滞在した人の感想」などが掲載されていて、自由に応募ができる。メールやスカイプ通話などで事前に条件の確認などがあり、お互いに了承できたら成立だ。なお、形の上では「サービスの交換取引」といえるが、ホームステイのように暖かく迎えてくれる農家ばかり。WWOOF で「食事・宿泊場所を提供してくれる側の人」は「ホスト」と呼ばれ、滞在中、仕事や趣味を通じて様々なコミュニケーションを取ることになる。

また同じように、滞在している他の人たちとの交流も期待できる。ニュージーランドの農家に滞在しつつ、イギリスやドイツから来ている人々と交流するなんて場合もある。1ヶ月~3ヶ月の長期滞在をする場合には、より多くの国の人と出会うチャンスがあるだろう。農業の仕事を一緒に手伝いながら自然や動物と触れ合えば、すぐに友達になれることは言うまでもない。また、うまく滞在先が見つかれば WWOOF で数カ所を転々とすることも可能だ。

WWOOF で長期滞在できる国は世界中に存在する

WWOOF で長期滞在したい場合

WWOOF を利用するには1年間有効なメンバー登録をすることが必要であり、メンバー登録費用は国によって異なる。ニュージーランドの場合は40NZ$となっており、詳しくは、WWOOF NEW ZEALAND のウェブサイト を確認して欲しい。登録するには「個人登録」か「カップル登録」を選択できる点も面白い。僕たちもそうだが、 WWOOF をうまく活用し世界中を旅行しているカップルは結構いる。いきなり英語で連絡を取るのは難しいという人は、まず 日本の WWOOF を試してみるのも良いだろう。

海外に長期滞在する方法が「ワーホリだけではない」ということをご理解いただけたなら、まずはそれが第一歩だ。WWOOF で「力」を貸す「ウーファー」は労働者や従業員ではないため、観光ビザで長期滞在できる。最長3ヶ月の期間を有効に使い、ツアーと組み合わせることも可能だ。なぜなら、WWOOF の作業は1日あたり4~6時間であり、長期滞在者なら週に何日かの休日も貰える。もっと英語が話せるようになりたい、海外生活に憧れる、将来田舎暮らしをするのが夢という人にとっては、まさにピッタリの生活が体験できるだろう。

2.Help Exchange(HelpX)

Help Exchange を利用した長期滞在もオススメ

2つ目に紹介する海外長期滞在の強い味方、それは Help Exchange(HelpX) と呼ばれるもの。WWOOF と同じように「サービスの交換取引」の仕組みであり、滞在先のホストは「食事と宿泊場所」を提供してくれる。では、WWOOF との決定的な違いは何かというと、WWOOF の場合にはホストが「農業体験の機会を提供できる場所」という前提であったが、Help Exchange ではそういった前提がない。つまり、より多様な滞在先 が見つけられる。

Help Exchange のコンセプトは非常に分かりやすく、自分の提供できる「サービス」「力」を交換し合うことが基本だ。実は友達同士の間では日常的に行われていることで、例えば、「引っ越しを手伝ってくれたら、焼き肉か寿司でも奢るよ」といった感覚に近い。ホストは人手の欲しい内容についてウェブサイトに詳細を掲載し、実際に応募してきてくれた人には「食事と宿泊場所」を提供するという形だ。

僕が実際に見掛けた内容としては、手元にある木材で家具を作るのを手伝って欲しいとか、ペンキ塗り、芝刈り、個人事業における商品の梱包、格納庫や部屋の掃除、不要品を eBay で売るための作業を代行して欲しい、さらには、子どもの世話ならびに保育園への送り迎え、両親の簡単な介護ならびに話し相手になって欲しい、などなど。そこまで頼んじゃう!? と驚きの内容もあるが、それだけ寛容に海外旅行者を受け入れてくれるのは凄い。

Help Exchange で長期滞在したい場合

HelpX で登録されているニュージーランドの滞在先ホスト

Help Exchange のメンバー登録は無料で行うことができるが、実際に滞在してみたい場合はホストと連絡を取り合う必要がある。そして、ホストと連絡を取り合うためには、やはり、プレミア・メンバーシップ という有料のメンバー登録をしなければならない。もちろん、ホストが見つかりさえすれば「実際の滞在費用」は掛からないため、登録料の20ユーロはとても安いと言える。1度でも滞在先が見つかれば、その何十倍も節約できるからだ。

なお、Help Exchange の有料登録は「国ごとに登録が必要」 であった WWOOF とは異なり、1度登録すると「世界中」で「2年間」有効なところも嬉しい。20ユーロの登録料だけで Help Exchange に登録している世界中のホストと連絡を取ることができるため、2年以内に色々な国を訪れてみたい人にとっては、WWOOF よりも Help Exchange の方が便利となる。1年間の世界一周旅行などを計画している人は、ぜひ活用したいところだ。

3.Trusted House Sitters

Trusted House Sitters は海外での長期滞在にオススメのウェブサイト

海外で長期滞在する方法として最後にもう1つオススメしたいもの。それは、僕たち2人が特に愛用をしている Trusted House Sitters というサイトだ。Trusted House Sitters では、「留守期間中のペットシッターを探している人」と「海外旅行の宿泊コストを抑え長期滞在したい人」をマッチングするサービスが提供されており、後者としてメンバー登録しておくと、世界中のペットの世話をしながら滞在費用を全く掛けずに旅行ができる。

Trusted House Sitters が世界的に大成功している1番の理由は、動物の飼い主たちの悩みを見事に解決しているから。ワンちゃんネコちゃんをはじめとして、海外では郊外に行くと、ニワトリや羊などを飼っている家庭も多い。長期休暇の間、ペットに留守番をさせることは不可能であり、かと言って、誰かに頼んで毎日来てもらうのにも限界がある。もし犬や猫が数匹であればペットホテルやケンネルに預ける選択肢もあるが、ストレス等で病気になってしまうことが心配だし、長期間だと費用も膨大になる。これは大きな問題であった。

一方、海外旅行者にとって最もコストが掛かるのは宿泊費。海外旅行中は1泊あたり1万円もしくはそれ以上の宿泊費を掛ける人がほとんどで、滞在費だけで10万円以上になることは当たり前であった。そんな中、Trusted House Sitters を利用し、飼い主が留守中のお家でペットたちの世話をすると、滞在費用ゼロ! 可愛い動物たちに癒されながら、ゆったりと現地の生活を楽しむことができる。滞在費用を抑えられることも嬉しいが、ペットオーナーからは多大なる感謝をされ、それをキッカケに友人になれることも魅力の1つだ。

海外での長期滞在をキッカケに人生が変わるかも!?

Trusted House Sitters で長期滞在したい場合

長期滞在中に世話をしたいペットは、自分の希望で選ぶことが可能だ。犬、猫、ニワトリ、馬、羊、魚、爬虫類など、Trusted House Sitters でペットシッターを探している飼い主側のプロフィールを色々と見てみると良いだろう。滞在したい国や地域、滞在期間などで条件を絞り込むこともできる。ただし、むしろ「飼い主側の方が優れたペットシッターを選ぶ」ということをしっかりと覚えておこう。なぜなら、飼い主側は「可愛いペットの世話に加え、留守中の家の管理も全て任せられる人」を選ばなければならないからだ。

つまり、Trusted House Sitters を利用するなら、とにかく、プロフィールを充実させることが重要となる。自身のプロフィールに「ペットと一緒に写っている写真」を利用することも1つの戦略だし、過去に飼ったことのある動物、ハウスシッターやペットシッターとしての経験など、できるだけ多くの情報を掲載しておく方が良い。英語で充実したプロフィールを書くことは手間が掛かるが、「憧れの海外の『夢のような家』でペットに囲まれた生活」を「滞在費用ゼロ」で実現できるのだから、価値はある。まずは メンバー登録画面 へ進み、気になる募集内容があれば、ぜひ応募してみよう。

ニュージーランド長期滞在の感想

僕たちは今回、Help ExchangeTrusted House Sitters の2つを利用し、約3ヶ月ほどニュージーランドに滞在した。ビザの取得も不要で、滞在費用(宿泊費)は何も掛からず、「生活費とレジャー費だけ」での長期滞在である。以下では、そんな僕たちが体験してきたニュージーランドでのロングステイを、ほんの少しだけ紹介しようと思う。

ファームステイで1週間の農業体験

ニュージランドのファームステイで世話をした牛たち

ニュージーランドで初めてとなる Help Exchange の滞在先は、WWOOF にも登録されている「ファームステイ」が体験できる場所だった。フェンス沿いの雑草刈りをしたり、馬や牛の世話をしたり、オリーブの木の剪定をしたり、フェイジョアの実 を拾ったり、山へ行って木の伐採をして薪割りの手伝いをしたり、チェーンソーの刃研ぎをしたり、1日毎に様々な新しいことを体験することができた。

ファームステイ中に山では木の伐採や薪割りも体験ニュージランドのファームステイで馬の世話をする妻午後になったらニワトリを放し飼いにするのは日課の1つニュージランドの雄大な自然に囲まれて暮らす動物たち

自然に囲まれての肉体労働はとても清々しく、また、美味しい食事が朝昼晩と提供された。食事と宿泊場所は「力」との交換条件とはいえ、夜はビールやワインなどアルコール類まで振る舞われ、この1週間は本当に「食費も宿泊費もゼロ」だった。なお、ホストの方は農業に関する多様なプロジェクトで生計を立てている人で、英語で色々な話題について会話することも楽しい。仕事や動物たちの話から海外旅行の話まで、話題は尽きなかった。

1年に1回は海外旅行へ行くためにお金を貯めるという話を良く聞くが、もし「世界遺産を巡ること」や「豪華なホテルに泊まること」より「海外ならではの体験」や「海外で暮らすことの体験」に興味があるなら、Help Exchange ほど理想的なものはない。高額な費用など全く必要ないので、1年に1回と言わず積極的に活用したいというのが率直な感想だ。

ペットシッターとして2ヶ月の長期滞在

ニュージランドではペットとしてアルパカを飼っている人も多い

1週間のファームステイでは、オークランドから車で3~4時間の地方に滞在した僕たち。その後は、Trusted House Sitters で連絡を取り合っていた「次の滞在先」へと向かった。

ウェリントンから北へ車で約1時間半。その家で暮らすのは、アルパカ5匹をはじめとし、ボクサー犬2匹、サイベリアンフォレストキャット1匹、ニワトリ12羽、金魚3匹というたくさんのペットに囲まれて暮らすイギリス人の夫婦だ。ニュージーランドへ移住してきて10年以上になるという。僕たちは、このイギリス人の夫婦が世界旅行でニュージーランドから離れている2ヶ月の間、ペットシッターとして家を借りる約束をしていた。

アルパカへの餌やりの写真ペットの犬が車に乗り込んで出たがらない!ニワトリの卵を回収するのも楽しみの1つソファーの上で仰向けに寝転がって完全リラックスの猫

ペットシッターとしての長期滞在では、ファームステイのように仕事を手伝う必要はなく、非常に落ち着いた生活を送ることができた。家は完全に貸し切りの状態であり、必要なものはホテル以上に揃っている。また、車も貸してもらうことができたので、移動手段にも全く困らなかった。毎日の日課は、ペットたちに餌を与えることとニワトリの卵を回収することくらいであり、あとは週に2~3回、配達ボックスを確認すれば良いだけであった。

長期滞在という意味では、ファームステイよりも落ち着いて暮らすことができ断然オススメである。ペットシッターといっても、1日に1時間ほどの拘束時間なので苦にはならない。むしろ可愛いペットに囲まれた長期滞在はとても快適だった。僕たちのようにペット好きで旅行好きな人にとっては、TrustedHouseSitters は最高の選択肢と言えるだろう。

まとめ

今回紹介をした『ニュージーランド長期滞在:3ヶ月の滞在費用をゼロにした方法!』は、ニュージーランド以外にも、多くの国で実践することができる。今回のニュージーランドやオーストラリア、イギリスを含むヨーロッパ、アメリカ、カナダにおいては、WWOOF や Help Exchange のように「海外旅行者をボランティアという形で受け入れること」が盛んなのだ。オススメの Trusted House Sitters も、これらの国を中心にますます人気を集めていくはず! 今後、ワーホリを使わずに海外で長期滞在のチャンスを作りたい日本人にとって、今回の記事もぜひ役に立って欲しい。