WordPress 子テーマは CSS 変更でデザイン修正するだけなら作成不要

WordPress の子テーマは CSS でデザイン修正をするだけなら作成不要

WordPress でホームページやブログを作成するとき、サイトにオリジナリティーを出すためインターネットや書籍で初心者向けに書かれた「子テーマの作り方」を参考にしてきた方は多いだろう。子テーマを作らないと、テーマのアップデート時に style.css や functions.php、テンプレートファイルへのカスタマイズが上書きされてしまうことがその理由だった。

しかし今、WordPress には「高機能・高パフォーマンス」の無料テーマやプラグインが多くなってきており、WordPress の本体には「追加 CSS」の機能も標準で実装されている。もし子テーマを作る目的が「見出し」「ボタン」「枠線」などのデザインに CSS を反映させたいレベルなら、既に【子テーマの作成は不要】と考えた方が賢明である。最近では子テーマを作らなくても高度なテーマカスタマイズが安全にできるようになっているからだ。

そこで今回は、WordPress 子テーマを作らずにテーマカスタマイズする2つのメリットと、実際に子テーマを作らずにできる4つのテーマカスタマイズの方法をご紹介しよう。

子テーマを作らない2つのメリット

子テーマを作らない理由とメリット

子テーマの作り方をシンプルに分かりやすく解説してくれている記事や書籍は山ほどある。

とはいえ、WordPress でのホームページやブログをはじめて作るという人にとっては、本来こんなところで時間を取りたくないはずだ。子テーマを作る作業には慣れている僕でさえ、取り扱ったことのないテーマの子テーマを作るときには苦労することがあるくらいだ。

そして、実際に「子テーマを作らないメリット」は2つある。子テーマを作ることが絶対に良いとは限らないので、ここではその2つの理由を確認してみて欲しい。

1. 子テーマ作成に掛かる手間を省ける

子テーマの作成は、慣れている人であれば数分で終わってしまうような簡単な作業である。ところが、WordPress の公式テーマディレクトリ から配信されていないテーマなどでは、子テーマでのカスタマイズができないよう意図的に開発されているテーマも存在する。

制作サイドは「こうすればテーマ利用者はテーマ開発者にサポートを求めるしかなくなる」ということを知っており、一般的な方法で子テーマを作っても上手く反映されないコードを採用しているようだ。子テーマを適用するとテンプレートファイルの参照がおかしくなり、エラーが出たりデザインが崩れたりしてしまう悪質なテーマもごく稀にある。

初心者にはミスでつまずいているのかテーマが原因なのかを判断することは難しいだろう。

こういうテーマでは、怪しい部分の PHP コードを確認して原因となっている部分を発見し、子テーマ側で修正しなければならない。普通に子テーマを作るだけでは上手く機能しないテーマがあることを知っておこう。

また、テンプレートファイルの構造や使用されている関数などはテーマごとに異なるため、一からきちんとカスタマイズをしていくには上級者でもかなり時間が掛かる。

どうせ「子テーマを作らずにできること」しかやらないのであれば、わざわざ面倒なことに首を突っ込む必要はない。子テーマの作成に掛かる手間は省き、別のことに時間を使おう。

2. テーマのアップデートにすぐ対応できる

2つめのメリットは、子テーマを作成せずサイトを運営していると、使用中のテーマに何か重要なアップデートがあったときにすぐ対応できるということだ。

このことが語られることは少ないが、子テーマでカスタマイズをすればカスタマイズ内容が失われることはない反面、親テーマのアップデート内容を子テーマの方へ適用するためには「アップデート部分を確認して子テーマ側のファイルにも反映させる」必要があるのだ。

もちろん、親テーマのアップデートが「重要なアップデート」でないようなら子テーマに反映する必要性は低い。ただいずれにしても、子テーマを作らずにサイトを運営すれば、そもそもそんな心配をする必要すらなくなる。

ということで、手元に「気に入ったテーマ」があって少しカスタマイズしたいレベルなら、子テーマは作らずに次の方法でカスタマイズしていくことをおすすめする。

子テーマなし!4つのカスタマイズ方法

子テーマを作らずにできるカスタマイズの範囲

WordPress の本体は日々進化していて、子テーマを作らなくても安全にカスタマイズできる範囲はどんどん広がってきている。だからこそ、子テーマの必要性も低くなってきている。

まずは、WordPress の公式テーマディレクトリ を念入りにチェックし、作りたいサイトのレイアウトやデザインに最も近いものをテーマとして選ぼう。これなら、選んだテーマから少し「見た目のデザイン」や「サイトの機能」などをカスタマイズするだけで済む。

それでは、子テーマを作らずにできる「4つのテーマカスタマイズの方法」を見ていこう。

1. テーマカスタマイザーを使う

WordPress には「テーマカスタマイザー」という画面があり、ここではテーマ設定が簡単に行えるようになっている。使用するテーマによっては「オリジナルのカスタマイズ項目」も追加されており、カスタマイザーの画面そのものが非常に高機能な場合もある。

この「テーマカスタマイザー」の画面を開くには、サイトの管理画面にログインした状態で左メニューから「外観」»「カスタマイズ」をクリックしよう。

WordPress 管理画面メニューからテーマのカスタマイザーを開く方法

WordPress 管理画面メニューからは「外観 » カスタマイズ」をクリック

あるいはログインした状態のままサイトを表示しているときであれば、上のツールバーから「カスタマイズ」のメニューをクリックすれば良い。

サイトを表示している状態からテーマのカスタマイザーを開く方法

サイトを表示している状態では上のツールバーから「カスタマイズ」をクリック

2. テーマオプションがあれば使う

有料テーマなど高機能なテーマでは「テーマオプション」と呼ばれる特別メニューがあり、レイアウトやデザイン、スライダー表示位置などが簡単にカスタマイズできる場合がある。

サイトの管理画面にログインした状態で、左側メニューに「外観」»「テーマオプション」のメニュー項目が見つかったら、使用中のテーマには「テーマオプション」が用意されているということだ。もしこれに気付かず自分でカスタマイズをすると非常に勿体ない。

WordPress テーマオプション

テーマオプションのメニューがある場合は要チェック

テキストサイズ・リンク色といった非常に細かな設定ができたり、アイキャッチ画像の表示サイズを変更できたり、SNSへのリンクを設定できたり、とにかくテーマによって可能なカスタマイズの項目は様々だ。

なお、最近は先に紹介した「テーマカスタマイザー」にテーマオプション機能がビルトインされているテーマも増えてきている。テーマカスタマイザーではリアルタイムに変更内容をプレビューできるため、さらに使い勝手が良い。筆者の英語サイトで使用中の高機能テーマ「Optimizer」は良い例である。

高機能なテーマオプションがカスタマイザーにビルトインされているテーマ

テーマオプションのカスタマイズ内容をリアルタイムプレビュー

3. プラグインで関数や機能を追加する

プラグインをインストールすれば、テーマにない機能や、サイトに表示したいパーツなどを簡単に追加することができる。WordPress ではプラグインを上手に使うのがポイントだ。

例えば、テーマの functions.php ファイルに直接カスタマイズコードを書くとテーマの更新で消えるので、まず Code Snippets というプラグインをインストールし、プラグインの上で自分が追加したい PHP 関数を管理する。わざわざ子テーマを作らなくても良いのである。

また、サイトデザインも含めたカスタマイズには、次の4つのプラグインがおすすめだ。

Meta Slider
レスポンシブ対応の画像スライダー作成
WordPress Popular Posts
人気記事一覧を自分の好きな場所に表示
Advanced Custom Fields
高度なカスタムフィールドの追加と表示
Ad Inserter
指定位置に広告やコンテンツを自動表示

上記4つのプラグインを上手に組み合わせれば、子テーマにテンプレートファイルをコピーする方法を取らなくてもかなり大幅なカスタマイズが可能となる。また、メンテナンス性に優れているというメリットがあることもおすすめの理由だ。

4. 追加 CSS でデザインを上書きする

追加 CSS の機能は、WordPress 4.7 のバージョンから本体に標準で実装された。

まずは最初に紹介したテーマカスタマイザーを開くため、サイトの管理画面にログインした状態で左メニューから「外観」»「カスタマイズ」をクリックしよう。左側のコントロールで下の方にある「追加 CSS」をクリックすれば、CSS を記述できる専用のエディタが開く。

子テーマを作らなくても安全にCSSを追加できる

子テーマを作らなくても安全にCSSを追加できる

子テーマを作成しなくても安全に「カスタム CSS」が管理でき、右側のプレビュー画面では追加した CSS が反映されたデザインを実際に確認できるのも大きなポイントだ。

また、ここで追加する CSS はページのHTMLヘッダーに直接読み込まれるので、テーマ側で読み込む CSS やプラグインが参照する CSS の定義なども確実に上書きできる。子テーマで style.css を管理する場合、親テーマやプラグインの CSS が後から読み込まれるケースも稀に発生するが、追加 CSS では始めからそういった心配がないのも初心者に優しい点だ。

子テーマを作らないとできないこと

子テーマを作る必要がある場合とは?

ここまでで、最近の WordPress では子テーマを作らなくても高度なカスタマイズはできると説明してきた。とはいえ、もちろん子テーマを作らないとできないこともある。

子テーマを作らないとできないことの具体例を挙げると、テーマのテンプレートファイル(ヘッダー、フッター、投稿、固定ページ、カテゴリーアーカイブページなど)やテーマに内包された Javascript など、外部ファイルを部分的に「削除」または「修正」する場合だ。プラグインなどで上手く表示できない場所に何かを「追加」したい場合も当てはまる。

なお、どういうときに子テーマを作らないといけなくなるかというと、選んだテーマ自体が希望するサイトのレイアウトやデザインに近くないときだ。また、テーマが高機能なときに不必要な部分を削除しなければならなかったり、テーマオプションの設定が柔軟性に欠けて直接コードを修正しなければならなかったり、仕方ないときもある。

どうしても子テーマを作らなければならないときは、子テーマ側でカスタマイズする内容を最低限に留めるようにし、親テーマのアップデートで何か重要なアップデートがあった際はすぐ対応できるようにしておくのが良いだろう。

今回のまとめ

WordPress でテーマをカスタマイズする前に子テーマを作る場合、初心者の方にとっては「作成に手間が掛かる」「テーマの重要なアップデートをすぐ反映できない」という2つのデメリットがあった。そこで最近では、子テーマを作らずに直接テーマをカスタマイズする方法にもメリットがあることを必ずクライアントに伝えている。

まずは自分が作りたいサイトのレイアウトやデザインに最も近いテーマをしっかり厳選し、4つの機能「テーマカスタマイザー」「テーマオプション」「プラグイン」「追加 CSS」を上手に使えば、子テーマを作るよりもメンテナンスしやすい形でオリジナリティーに溢れるサイトを作成することは十分可能だ。事実、子テーマが必要ないケースは増えてきている。

これまで「子テーマは必ず作らなければならない」と考えていた人も、今まさに子テーマの作り方を調べていて「子テーマを作ろうとしていた」という人も、今回の記事を読んでみて「本当にこの子テーマは作らなければならないのか?」と一度再確認してみよう。