日本人には「いつか海外で暮らすことが夢」なんて良いながら、生涯を日本だけで暮らす人が多い。もちろんチャンスを掴み、自分で望む夢のような海外生活を手に入れている人もいるが、その割合は100人に1人くらいの確率であり、まだまだ珍しいということが分かる。
では、海外で暮らしているのは「どういう日本人」なのか? 成功している人? それとも、ちょっと頭のおかしい人?(笑) 僕は、昔の友人に「海外で暮らしている」と伝えただけで「お前は凄いなー、俺には到底ムリや!」と言われ、それならと記事を書くことにした。
そもそも海外で暮らす日本人が「極めて稀」である理由
これは、に様々なことが考えられる。まず第一に、海外では日本語が通じない。次に、日本は国民に「多重国籍」を許さない国であるため、海外永住しづらい。ちなみに、これは外国人が日本に永住したい場合も同じだったりする(日本に外国人が少ない理由の1つ)。
いつか夢を叶えたいなんて言っているうちに、家庭を持ち、ローンを抱え、貯金に回すお金がないままに子どもができる。こうなるともう雁字搦めだ。仕事を変え、手元にある家や家具をどうにかし、子どもを引き連れ、環境を大胆に変える覚悟がないと、海外へは行けない。
さらに、これは日本から一歩外へ出ると気付くことだが、日本人は海外で暮らすことによる「環境変化」に慣れていない。日本は先進国の中でもサービスに恵まれた国であり、日常的に当たり前だと思っていることが海外で通用しないと、しばしば拒否反応を起こすのだ。
日本人が海外で暮らすために乗り越えるべき5つの壁
上記理由をまとめると、日本人が海外で暮らすまでには、5つの壁が存在することになる。
- コミュニケーション「言語」の壁
- 何とかなるようで、何ともならない。最低限の会話は、どうにかするしかない。
- 移住のさらに先にある「永住」への壁
- 残念ながら二重国籍は不可。あとはビザだが、定期的な更新や手続きが必要。
- 貯金がない一方で全財産が日本国内にあるという「物理的」な壁
- 日本で長く暮らすほど、壁は高くなっていく。どこかで思い切るしかない。
- 手に入れたものを失うことや環境変化に対する「精神的」な壁
- ある程度の物ごとがリセットされることは承知する。代わりに何を手に入れるか。
- 違いを受け容れて成功するまでの「文化理解と共存」への壁
- 日本に慣れすぎると、些細なことが壁に見える。しかし、違うことは当然のこと。
このようにまとめると、友人に「お前は凄いなー、俺には到底ムリや!」と言われた理由も、何となく分かった気がする。おそらく、3番目と4番目の壁のことを言っていたのだろう。
では、実際に海外で暮らす日本人たちは、どのようにこの壁を突破したのだろうか。これまで僕が知り合った海外で暮らす方々の「共通点」を整理してみたところ、突然、「海外で暮らすために必要なものは、たった2つしかない」と気が付いた。
必要なもの1、壁など気にせずとにかく行動を起こす力
日本人が海外で暮らすには、乗り越えるべき『5つの壁』があることを説明した。ところが、これを1つ1つ乗り越えるために必要なものは、たった2つに集約される。
そして、その必要なことの1つ目が『行動力』である。なぜか?
行動を起こす者にとって壁は「壁」ではない
『行動力』とは、すなわち「目の前にある問題はとりあえず脇に置き、一歩目を踏み出すことのできる力」だ。実際、行動力のある人たちの共通点を思い返してみたのだが、何もそんなに難しい話ではない(そして海外では、こういう「素早さ」がとても重要)。
例えば、なにか目新しいことの話をしているとき、「でもそれって…なんじゃないの?」とか「○○の方はどうなるの?」といった反応をしてしまう人は、次から「面白そうだね、自分もやってみようかな。どういう風にするの?」に変えてみよう。
もし興味があるなら、実際やってみなきゃ分からないし、どうせ「もっと早くにやっておけば良かった」となるのが大抵のオチだ。また、どのように壁を乗り越えていくかは、先に決めることではなく、色々調べてやっているうちに「気が付けば」超えていたりする。本当に。
必要なもの2、過去や現在より未来を見る力
日本人が海外で暮らすために、もう1つ必要なもの。それは、何を隠そう『未来を見る力』である。向かう先の将来に希望と確信を持とう。こちらも、そんなに難しい話ではない。
海外で暮らしている日本人が決定的に違うことは、まず「自分の将来は劇的に変えられる」ということを知っている点だ。つまり「どうせ何をしたって変わらないから」などと言っている人はいない。自分で行動を起こせば将来は変えられることを体験から知っているのだ。
未来の自分への広がる選択肢
また、海外で暮らすようになると、新しい情報が「海外と国内の両方」から入るようになり、日本のことだけでなく、世界規模で物ごとを考えるようになる。そして、さらに未来のことを考えながら、チャンスがあれば次の行動を起こす。いい意味で、とても貪欲になる。
ふと、スティーブ・ジョブズの名言 “Stay Hungry, Stay Foolish” が頭をよぎる。それは「現状に留まること」を良しとしないことである。人の脳は、「自分は、今のままで良い」と思った瞬間からどんどん老いていくものだ。情報をかき集めて、考えてみよう。
もし未来を世界規模で見渡すと、どんな選択肢が取れるだろう? 自分が海外で暮らすことにより、何かの可能性を感じているのであれば、先ほどの壁も低く見えてくるはずだ。
- 貯金がない一方で全財産が日本国内にあるという「物理的」な壁
- 日本で長く暮らすほど、壁は高くなっていく。どこかで思い切るしかない。
- 手に入れたものを失うことや環境変化に対する「精神的」な壁
- ある程度の物ごとがリセットされることは承知する。代わりに何を手に入れるか。
例えば、この「日本人が海外で暮らすために乗り越えるべき5つの壁」の3番目と4番目だ。数十年も物価の上がらない「デフレ状況化」の日本では、優れた商品やサービスは安くなっていく一方、給料や不動産の価値はなかなか上がりそうにない。
色々考えはじめると、海外で暮らしてときどき日本に帰る生活、悪くないでしょ?(笑)
あとがき
この記事をどう判断して、どう行動するかは人それぞれだ。しかし、過去や現状のモノばかり気にしていると、精神的に年老いていく。常に若々しく、そして、未来を切り拓くためにも、たった2つ『行動力』と『未来を世界規模で見る力』を手に入れてみてはどうだろう?
もちろん、海外で暮らすということは人生の中では「一大決心」となるはずで、僕はあなたの人生に責任を負うことはできない。しかし、何も考えないうちに、こういった決心ができなくなる人が多いのも事実だ。このブログ読者の皆さんが、後悔のない人生を送れますように。