2010年、僕は Airbnb のことを特集しているある記事を見つけた。今その記事を見つけることはできないが、僕はその記事の中で「Airbnb のキャッチコピー」として使われていた「暮らすように海外を旅する -Travel like a human-」というフレーズにやられた。
当時、僕は入社3年目のシステムエンジニアだった。自力で海外旅行へ行った経験がなく、バイトとサークルと研究に明け暮れて過ごした「平凡鬱々な大学生時代」を悔やみながらも必死に英語を勉強していた。いつか海外で暮らすことは、1つの夢だった。
Airbnb で海外生活を体験したい
Airbnb は僕にとって凄く魅力的なものだった。「いつか海外で暮らしたい」という何とも漠然とした将来の夢を持ちながら、日本の会社でプログラミングをしていた26歳の青年だ。海外の違った環境で働く人たち-しかも IT 産業の聖地サンフランシスコで暮らす人たちと「生活」を共にできる Airbnb という新しいサービス。興奮しないはずがない。
僕は早速、Airbnb で部屋を掲載している海外の人たちのプロフィールをチェックし始めた。興奮は止まらなかった。Airbnb のプロフィールに掲載されていたことは「家の中の写真」だけではなかったのだ。その部屋を貸している人の職業、経歴、Facebook での友達の数、趣味、写真など、当時の僕には別世界だった人たちがそこにはいた。
もし Airbnb を使ってサンフランシスコへ行けば、この人たちに実際に会い、そのまま家に泊まり、他愛もない話をして、友達になることができるのか! 思い立つと居ても立ってもいられなくなった僕は、どのタイミングで有給休暇を取ればいいか、計画を立て始めた。
Airbnb で英文メールのやり取り
同時に、Airbnb では英文メールで問い合わせをする必要があった。当時の僕は、そんなに英語ができなかった。誰か英語を話す相手がいるわけでもなく、英会話の実力を測るための唯一の手段は TOEIC を受験することのみ。それもようやく 700 点台に乗った頃だった。
苦労をしてようやく英文メールを送ると、Airbnb で返信をくれた人たちは、皆とても親切だった。凄く嬉しかったことを覚えている。それは、カセットテープや試験用紙の英語ではなく、カリフォルニアに実在する「もうすぐ会うことができる人」との英文メールだった。
Airbnb 3泊4日のサンフランシスコ
2010年10月7日-僕は Airbnb のみを使って、 初めての海外「サンフランシスコ」へ1人で旅立った。予約したのはホテルではない。サンフランシスコ在住のアメリカ人カップルと、サンフランシスコ在住の海外出身者、2つの家へ泊まりに行くのが目的だったのだ。
Airbnb での暮らすような旅は、最高だった。1泊目のアメリカ人カップルの2人は仕事が終わってから僕を夕食会へ招待してくれた。2泊目と3泊目の海外出身の方も10年になるアメリカ生活の話をしてくれ、僕の将来の夢の話に夜中まで耳を傾けてくれた。もちろん、昼間はサンフランシスコ観光を思う存分に楽しんだ。でも、Airbnb での現地の人たちとのあの濃厚な時間こそが僕を成長させてくれたことは間違いない。
Airbnb 以外での出会い
この旅は1人旅だったこともあり、Airbnb 以外でも多くの出会いも多かった。当時、僕は lang-8 という英語学習サービスを利用していたのだが、滞在中、偶然にもサンフランシスコ在住 lang-8 ユーザーのオフ会があった。ここでは、サンフランシスコで働く日本人の方々や、日本語を勉強中のアメリカ人の方々と友達になることができた。
さらに、カリフォルニア科学アカデミー (California Academy of Sciences) の NightLife というイベントへ参加した際、地元サンフランシスコの同年代の若者たちと仲良くなった。彼らはとても気さくで、入場口のところで友達になると「他にまだ後から友達が来るんだ、良かったら一緒に見て回ろうぜ!」と驚くほどフレンドリーだった。
Airbnb で体験した夢の海外生活
僕が初めて体験した Airbnb を使った海外旅行は、まさに Airbnb のキャッチコピーのとおり「暮らすように海外を旅する」ものだったと言える。サンフランシスコの街を歩き、バスに乗り、自転車に乗る。ご飯を食べたりお酒を飲んだりしながら、仕事や将来の話をする。
僕は、この時 Airbnb で知り合った方々と、いまなお Facebook で連絡を取り合っている。ある人は LinkdIn のエリア代表マネージャーだったりするが、不思議にも、僕たちは何でも親密に会話ができる旧友のような間柄である。年齢差なども全く関係がない。
学生時代に留学した経験がなく、海外と関わる仕事などまだ任せて貰えなかった当時の僕にとって、Airbnb や Facebook で少しずつ海外との関わりを増やしていけたことは「奇跡」のような出来事である。ミレニアル世代に生まれて、本当にラッキーだった。
あとがき
僕の人生は、このサンフランシスコへの1人旅から、急激に変わり始めた。もし当時、Airbnb を使わずに「ホテルに宿泊して、ガイドブックに載っている場所をただ回るだけ」のような旅をしていたなら、こんなに多くの出会いはなかっただろう。
そして、Airbnb での刺激的な出会いがあったからこそ、僕の人生は変わったのだと思う。
この後、僕は京都で Airbnb ホスト となるが、そこではさらに多くの出会いが待ち受けていた。仕事をしながら、家では外国人の観光客をおもてなしする日々。外国人との付き合いが増えるにつれて、日本にいながらもメキメキ英語力を上げ、外資系企業に転職したり、海外で仕事をしながら Airbnb で世界中を飛び回る ようにもなった。
まだ Airbnb で旅行したことがない人は、国内でも海外でもどちらでも良いので、Airbnb を使った旅行を、ぜひ体験して欲しい。そして、ぜひ『人生観が変わる旅』を見つけて欲しい。