海外在住者マイナンバーカードを一時帰国中に取得してきた話

【海外在住歴10年】日本への一時帰国中にマイナンバーカード取得
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今回は、海外在住者にとってのマイナンバーカードの取得方法や、これからどんなことに利用できるようになるのか、そして、実際に海外在住歴10年となった僕が、今回の一時帰国中にマイナンバーカードを取得してみて気付いたことなどをまとめたい。

というのも、先日、海外在住者向けのマイナンバーカードを京都では第一号で取得してきた。せっかくなので、海外在住者でこれからマイナンバーカードを申請したい人や、海外移住してマイナンバーカードが無効になっていた人の参考になればと思う。

海外在住者のマイナンバーカード申請開始

2024年5月27日より、現在マイナンバーカードを持っていない海外在住者(2015年10月5日以降に国外転出をした方に限る)でもマイナンバーカードを申請可能になった。

現時点で海外在住者がマイナンバーカードを申請できる場所は、

  1. 本籍地のある市区町村
  2. 居住国内の在外公館

となっている。来庁して申請書を提出するか、郵送での提出も可能とのことだ。ただし、記入漏れや記入ミスの最終確認と修正がその場で可能なので、来庁した方が安心かもしれない。

なお、市区町村によっては役場以外に「マイナンバーカードセンター」が設置されている所もあるので、一時帰国中の申請場所や受け取り場所はあらかじめ確認しておこう。

海外在住者がマイナンバーカードを申請できる場所

一時帰国中のマイナンバーカード申請方法

2024年、僕は偶然にも4月2日~6月30日という長期間、日本に一時帰国していた。本籍地のある京都にも2ヶ月ほど滞在していたので、海外在住者向けのマイナンバーカード申請が開始された5月27日に申請し、無事、6月14日にマイナンバーカードを取得できた。

マイナンバーカード申請の具体的な手順は、以下のとおりだ。

マイナンバーカード申請の具体的な手順

一時帰国中のマイナンバーカード申請方法

  1. マイナンバーカード総合サイト から申請書をダウンロードし、必要事項を記入する。あらかじめ記入してから ネットプリント で印刷する方法がおすすめ。
  2. 記入が完了した申請書を、本籍地の市区町村に提出する。なお、来庁して提出する場合、現地での記入漏れやミスの確認・修正ができる。
  3. 申請後、交付までには約1ヶ月かかる。交付準備が整ったら連絡が入る。
  4. 指定された場所でマイナンバーカードを受け取る。受け取りの際は、必ず本人確認書類と申請書類の控えを持参する。

海外在住者が直面する身分証明の問題

海外で長く暮らす日本人にとっての困りごとは、最近、オンラインサービスで本人確認書類の提出が必須になったり、金融機関に本人確認書類や住所確認書類の再提出が求められたりするケースが増えていることだ。今はまだ大丈夫でも、いつ自分の利用しているサービスや銀行が使えなくなるか分からず、心配している海外在住者も増えている。

また、日本国内で店舗やサービスの利用時、日本の身分証明書を求められることもある。

僕自身、フランスに移住後、運転免許証をフランスのものに切り替えてからは、日本で有効な身分証明書を持っていなかった。普通は健康保険証、運転免許証、マイナンバーカードなどを使うことが多いと思うが、日本人であるにも関わらず、パスポートしか使えない状況だった。

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一時帰国中のマイナンバーカード取得体験談

今回、申請時に役場の方々とは色々話したのだが、僕は海外在住者向けマイナンバーカードの申請者として京都では第一号であり、交付も第一号とのことだった。

申請に対応してくれた方は、その日から海外在住者向けのマイナンバーカード申請が始まるということで、かなり事前に準備をされていた様子だった。個人的には「海外在住の方は申請ができません」なんて言われることも想定していたので、実は内心とても安心していた。

それでも最後は「慣れない内容で時間が掛かってしまい、大変申し訳ございませんでした」と仰っていたので、もしかすると普通の手続きよりは時間が掛かってしまったのかもしれない。特に、僕のマイナンバーカード発行が本当に初めてどうかの確認はとても慎重にされていた。

なお、申請時には「交付まで約1ヶ月掛かる」とのことだったが、残りの滞在期間がちょうど約1ヶ月と伝えておいたことや、おそらく申請者第一号だったこともあり、少し早く交付して貰えたようだ。受け取りの際にも現場の最高責任者が手続きを進め、その内容を後ろで5名がメモを取りながら見守るという状況だった。

マイナンバーカード申請の際の注意点

こうして、僕は無事にマイナンバーカードを取得できたわけだが、海外在住者がマイナンバーカードを申請する際、あらかじめ注意しておくべきだと感じたことが4つある。

1. 交付期間の長さについて

1つ目は、申請から交付までの期間の長さだ。一時帰国中に本籍地で申請するにしても、居住国内の在外公館で申請するにしても、申請から交付して貰えるまでの期間は、余裕を持つなら最低でも「約1ヶ月」を見ておいた方が良さそうだ。

2. 受け取りの際の注意点

2つ目は、マイナンバーカードの受け取りは対面で行う必要があることだ。これは、本人確認のためとカードの確実な交付を保証するためで、郵送での受け取りは一切認められていない。申請は郵送でも可能だが、受け取りは、本籍地のある市区町村もしくは居住国内の在外公館へ本人が赴く必要がある。

僕の場合、近くのマンスリーマンションに長期滞在していたので「交付準備ができました」と連絡があった日、すぐ受け取りに行けた。ただ、海外の地方に住んでいる方や、一時帰国中に本籍地から離れた場所に滞在する予定の方は、交通費や宿泊費も掛かってしまうだろう。

3. 申請書の準備に関する注意点

3つ目は、申請書を準備する際の注意点だ。申請書は マイナンバーカード総合サイト からPDFでダウンロードでき、分かりやすい記入サンプルもあるため、楽に準備できるとは思う。

ただ僕の場合は「国外転出(予定)日」の記入欄に困らされた。当時、住民票を抜いたときに役場へ提出した「国外転出日」を覚えていなかったからだ。結果的に、残っていたメールから当時のフライトの「eチケット」を検索し、その日付を記入した。

また、長年の海外在住者が日本へ一時帰国中に申請する場合、日本国内で連絡がつく電話番号がないこともあるはずだ。こういう場合、メールアドレスの書き間違い、読み間違いは致命的となり、向こうから連絡ができなくなってしまう可能性もある。十分注意しよう。

あと余談だが、せっかく届いたメールが迷惑メールに入ってしまう可能性にも注意しよう。

4. 海外在住者の申請条件に適合するか

4つ目は、上でも書いたとおりだが、現時点でマイナンバーカードを申請できる海外在住者は『2015年10月5日以降に国外転出をした方に限る』という点だ。いつ海外で暮らし始めたかではなく「いつ住民票を抜いたか」が重要で、マイナンバーが国民に付与されたタイミングであなたが日本国の居住者だったかどうかがポイントだ。

僕は海外生活を始めたのは2014年だが、当初はどれくらい海外生活を続けるかが未定だったこともあり、国外転出したのはマイナンバー制度が開始された後の「2015年11月」だった。もし最初から住民票を抜いていたら、僕は今回の申請条件に該当していなかったことになる。

僕の場合、当時、一時的に住民票を移しておいた実家に「マイナンバー通知カード」が届き、一時帰国して国外転出したときにそのカードを区役所へ返還したことを覚えている。そして、マイナンバー通知カードの両面を写真に撮り、マイナンバーもメモに書き留めていた。自分がいつ国外転出したか思い出せない人は、こういう記憶や記録があるか確認してみよう。

海外在住者向けマイナンバーカードの違い

チェックポイント

海外在住者向け(非居住者)のマイナンバーカードは、日本居住者のマイナンバーカードとは少し違う。その違いは、表面の住所欄が「国外転出 ○年×月△日」となっていることだ。

海外在住者のマイナンバーカードの利用制限

海外在住者向けマイナンバーカードができないこと、それは「日本国内の住所確認」である。当然といえば当然なのだが、海外在住者でも、日本と海外で多拠点生活をしていて、実家など親族の住所を利用して日本国内のサービスを継続利用している人は多い。そんなサービスから最近になり「現住所を確認できる身分証明書で本人確認」を求められる、ということが増えているらしいのだ。だから今回、僕もパスポートしか身分証明書がない状況だったので、新しく海外在住者向けのマイナンバーカードが取得できるようになると聞き、急いで申請したのだ。

しかし残念ながら、海外在住者向け(非居住者)のマイナンバーカードでは、そもそも国内で利用中のサービスに登録している住所が記載されているわけではないし、海外の現住所さえも書かれていない。だから、利用中の日本国内のサービスの継続利用の条件が「国内居住者」となっている以上、マイナンバーカードは何の解決策にもならないのが現状だ。海外在住者向けマイナンバーカードは、住所確認が求められないときのみ使える身分証明書となる。

他に、マイナンバーカードを使ってコンビニなどで交付可能な「住民票」も、そもそも日本に住んでさえいないのだから交付できない。一時帰国中にマイナンバーカードを取得できても、あくまでも「海外在住者(非居住者)」であることには変わりないので、注意しよう。

マイナンバーカードで海外在住者ができること

では、逆にマイナンバーカードで海外在住者ができるようになることは何なのか? それは、正直「今の段階ではまだ良く分からない」としか言えない。この制度は新しく始まったばかりだからだ。

国外からでも e-Tax を利用してオンラインで確定申告ができるようになったり、日本国内の銀行口座の開設や維持、それから携帯電話番号の契約などが可能になるといった噂はあるが、いずれも確定ではないので、今後の進展に期待するしかない。

一時帰国中にマイナンバーカードを取得した感想

個人的には、今年中に日本へ帰国することにしたので、急いでマイナンバーカードを取得する必要はなかったと感じている。実際、マイナンバーカードを身分証明書として使ったことは、今のところ一度もない。

とはいえ、日本へ帰国した後は、国内住所が書かれたマイナンバーカードを作り直す予定だ。マイナンバーカードさえあれば健康保険証としても使えるということだし、近くのコンビニで公的証明書を発行できるのも便利だ。日本に住むなら作っておいて損はないと思うし、帰国後しばらくの間は、諸所の手続きが必要になるはずだからだ。

海外在住者がマイナンバーカードに求めること

僕は、海外在住者向けのカードとしては、海外在住でも「現住所確認」ができるようになり、在外公館での「公的証明書の発行」や「現住所変更・新規カード発行」なども問題なくできるようになることを願っている。まだ課題の多いマイナンバーカードだが、これが実現すれば、公的な証明書を日本の親族など代理人に取得して貰い、EMSで送って貰うというようなことをする必要も、日本人なのに海外在住というだけで日本国内のサービスが使えないなどといったこともなくなるだろう。

海外在住者向けのマイナンバーカードについては、何かしらの有益で新しい情報が入ったら、またこのブログでまとめて記事にしようと思う。今回はここまで。