秋の京都は「紅葉の美しさ」で有名だが、観光名所が人で溢れる「オーバーツーリズム」への事前対策も必要だ。この記事では、京都出身で京都在住の僕が、京都の紅葉について観光客におすすめの情報をまとめて公開する。
紅葉シーズンの京都を訪れる前に、京都の紅葉の見頃はいつからいつまでか、エリア別の紅葉名所、京都人もおすすめの穴場紅葉スポット、混雑を避けて楽しむコツなど、ぜひこの記事で確認しておこう。
京都の紅葉シーズン見頃はいつ?
京都の紅葉が見頃を迎える時期は、11月中旬~12月上旬。京都の紅葉シーズンは特に混雑が予想されるので、宿泊施設は早めに予約しておくようにしよう。
なお、2024年の紅葉は全国的に例年と比べて少し遅く、京都も約1週間遅くなっている。
11月上旬は早い?いつから見頃?
京都の紅葉は、11月上旬だと色付き始めの時期で、まだ見頃のピークには少し早い。
メリットは、混雑もピークより前であるため、のんびり観光しやすいことだ。
11月上旬に京都の紅葉を楽しむなら、標高が高く気温が低いエリアの紅葉を狙おう。ただ、移動距離が長くなる点には注意したい。
ピークは11月下旬?混雑状況は?
京都の紅葉のピークは、11月下旬。
混雑もピークになる点は仕方ないが、京都市は混雑回避の対策もしてているので、最も見頃の紅葉を楽しめる11月下旬はやはりおすすめ。
また、紅葉関連イベント・夜間ライトアップもこの時期に最も多く開催される。
12月上旬はどう?いつまで見頃?
京都の紅葉は、12月上旬でも楽しめる。また見頃のピークは終えている場合も、落ち紅葉の美しい庭園などはたくさんある。
ただ、気温がぐっと低くなるため、寒さ対策を万全にしておく必要があるのと、暗くなるのも早いため、綺麗な写真を撮れる時間は短い。
なお、もし運が良ければ「紅葉と雪の共演」を楽しめるかもしれない。
京都の紅葉名所おすすめエリア
京都は紅葉の名所が数多くあり、エリアごとに異なる風情を楽しめる。以下の主な4エリアのどれかを回れば、間違いなく楽しめるだろう。
嵐山・嵯峨野エリア
嵐山・嵯峨野エリアは、京都を代表する紅葉の名所が集まる自然豊かなエリアで、見どころが多く、特に秋には大勢の観光客で賑わう。
嵐山
渡月橋の周辺の眺めが美しく、川沿いの紅葉が映える人気スポット。屋形船もあり日本らしい風情のある景観が魅力的。
嵯峨野トロッコ列車
写真出典:嵯峨野観光鉄道 公式HP
車両から見える紅葉のトンネルが絶景で、季節限定の特別な体験が楽しめる。歩くのが苦手な方にもおすすめ。
天龍寺
世界遺産にも登録された寺院で、曹源池庭園と紅葉のコントラストは背景の嵐山の景観と一体となり、絵画のような美しさに。
大悲閣千光寺
静かな山寺で、境内から見渡せる嵐山の紅葉が印象的。時間がある人は、ぜひ訪れてみよう。山を登るので、行くなら歩きやすい靴で。
常寂光寺
境内全体が紅葉に染まり、趣ある茅葺き屋根の仁王門は紅葉との調和がとても美しい。さらに多宝塔など、境内には見どころが多い。
大覚寺
大沢池に映る紅葉が美しく、寺院と自然が調和した穏やかな空間が広がる紅葉スポット。よく映画や時代劇のロケ地としても利用される。
清凉寺(嵯峨釈迦堂)
風情ある境内が見どころ。秋は紅葉が多宝塔を彩り、その美しさで参拝者を魅了する。境内にある落ち着いたカフェもおすすめ。地元民には中学生時代「愛宕登山競走」の出発地点として記憶に残る、由緒ある場所でもある。
宝筐院
写真出典:嵯峨野宝筐院 公式HP
静かな紅葉の名所として知られ、色とりどりの紅葉に囲まれる美しい庭園が特徴。混雑時期も他の人が写り込まない写真を撮りやすい。
鞍馬・貴船エリア
鞍馬・貴船エリアは、自然豊かな山間の紅葉が楽しめるエリアで、静かで落ち着いた秋の風景が広がる。山の上なので、見頃は少し早め。
鞍馬寺
山道を登りながら紅葉を楽しめるお寺で、境内から山を見下ろしたときの眺めも壮観。
貴船神社
貴船川沿いの紅葉が美しく、貴船神社の参道の石階段では、朱色の春日灯籠と紅葉の幻想的なハーモニーが楽しめる。夜はライトアップも。
叡山電車 もみじのトンネル
写真出典:叡山電車 公式HP
叡山電車で出町柳駅から鞍馬駅へ向かう場合、車窓いっぱいに広がる紅葉を楽しめる。ワイドビューな窓際の席に座れれば、至福の時間に。
東山エリア
東山エリアは、歴史的な寺社や庭園が集まり、京都らしい風情ある紅葉を楽しめるエリア。
清水寺
様々な角度からの紅葉は見事で、ライトアップされた夜の景色も圧巻。一生忘れられない景色になるほどの美しさ。
南禅寺
歴史ある水路閣の煉瓦と紅葉のコントラストが美しく、また広い境内全体が紅葉で彩られる。インスタ映えスポット多し。
円山公園
紅葉が色づくひょうたん池周辺では、鳥や亀、猫などの動物たちも見られ、自然と触れ合える癒しスポット。
永観堂(禅林寺)
“もみじの永観堂”とも呼ばれ、池に映る紅葉やライトアップが見事な紅葉スポット。昼と夜で異なる趣を楽しめる名所。
伏見・宇治エリア
歴史的な建造物と紅葉の美しい景色が調和する伏見・宇治エリアは、宇治茶や酒造巡りなども楽しめ、秋の味覚と風情を同時に満喫できる。
伏見稲荷大社
千本鳥居で有名な伏見稲荷大社だが、境内から裏手の稲荷山まで多くの紅葉があるため、秋の京都の美しい景観を思う存分に楽しめる。
醍醐寺
世界遺産に登録された寺院で、広大な敷地内の紅葉が見事。弁天堂周辺の紅葉が特に美しく、池に映る紅葉との調和が見どころ。
三室戸寺
春のツツジや初夏のあじさいが有名だが、紅葉シーズンには庭園が鮮やかに色づく。古くから宇治では紅葉の名所で、三重塔も見どころ。
京都人が教える穴場紅葉スポット
有名な紅葉名所ばかり巡ると人混みで疲れるので、穴場へ行き、落ち着いて紅葉を楽しめる「ほっこり時間」をつくるのもおすすめだ。
京都人の僕が個人的におすすめしたい「穴場の紅葉スポット」をいくつか紹介しておこう。
柳谷観音 楊谷寺
色とりどりの紅葉で飾られた花手水が美しく、落ち紅葉に囲まれた可愛いらしい小地蔵を見てホッコリ、秋ならではの趣を感じられる。
神護寺
高雄山の中腹に位置し、紅葉に囲まれた石段を上った先にある境内も紅葉が美しい。厄除けを祈願した「かわらけ投げ」も楽しめる。見頃は市内中心部と比べると、少し早め。
京都御苑
広々とした敷地にモミジやイチョウが色づき、都会の中で静かに紅葉を楽しめる場所。無料で楽しめ、外国人観光客にも大人気のスポット。樹齢の長い大きな樹木が多いのも特徴。
毘沙門堂
参道に敷き詰められた真っ赤なモミジが印象的で、紅葉シーズン終盤になるまで秋の美しさを楽しめる静かな寺院。
嵯峨鳥居本
嵐山から徒歩でもアクセスできる茅葺き屋根の集落で、紅葉で彩られる朱色の鳥居が美しい。近くに化野念仏寺や祇王寺があり、見どころも満載なので、秋の風情をじっくり楽しめる。
秋の京都を満喫するコツと注意点
秋の京都は紅葉が美しく、最も多くの観光客で賑わうシーズン。混雑や移動のしづらさなどもあるため、快適に紅葉狩りを楽しむためには、いくつかコツと注意点を押さえておこう。
早朝から行動する
観光客が比較的少ない早朝なら、混雑を避けて美しい紅葉の景色をゆっくり楽しめやすい。
また、昼食、次の場所への移動、夕食と、早め早めに動くと待ち時間も短くなる。ピーク時間に帰るくらいのつもりで動くと良いだろう。
歩きやすい服装で出かける
京都の紅葉スポットには石ころ道や坂道も多いため、歩きやすい靴と服装で出かけて、快適に移動できるようにしておこう。
また、山の方の紅葉スポットで休憩する際には肌寒く感じ、混雑した公共交通機関に乗る際は汗をかくことも多い。すぐ羽織ったり脱いだりできる服装がベストだ。
紅葉狩りの合間も楽しむ
紅葉スポットの周辺にはカフェやお土産物店も多い。合間に立ち寄って地元の名物や雰囲気を味わえるよう、行動時間に余裕をみておこう。
ただし、穴場スポットに出かける場合、周りに何もなかったり、限られたお店はどこも満員といったケースも想定される。軽食やドリンクを少し持ち歩いておくこともおすすめする。
小銭と旧紙幣を用意しておく
神社仏閣の参拝やおみくじ、お守りの購入などとにかく必要なため、細かい小銭と、旧紙幣も準備しておくと観光がスムーズになる。
少し古い販売機・券売機では、2024年に発行された新紙幣が使えないことがある。なるべく旧紙幣を残しておくようにしよう。
エコバッグを持ち運ぶ
京都市内ではゴミ箱が少ないため、出たゴミは持ち帰るのが基本。ただ、いかにもゴミ袋だと気分的に持ち運びが億劫になる。
お買い物袋、ゴミ袋として使えるエコバッグをいくつか持参すれば、地元の名産品を買う時も便利だ。折りたたみできる和柄のエコバッグもお土産物屋に低価格であるので、ぜひチェックしてみよう。
京都の紅葉情報まとめ
秋の京都は、日本の紅葉の美しさを楽しもうと世界中から多くの観光客が訪れる。だからこそ事前の情報収集はとても大切になる。
京都の紅葉の見頃、混雑のピーク、名所や穴場スポット、快適に楽しむためのコツを押さえておけば、よりスムーズに観光を楽しめるので、ここの情報を参考に、京都の秋の風情を存分に味わってほしい。色づきの状況や写真なども、少しずつ更新していきたいと思う。
最後に、紅葉狩りを楽しむ際は、京都の自然や歴史的建造物を大切にし、周囲の人々へ配慮も忘れずに!