京都市は外国人が住みやすい街、家族で移住を決めた理由5つ

京都市四条大橋から望む鴨川沿いの河川敷と先斗町の町並み
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京都市は2020年から3年連続で「日本人人口の減少数が全国ワースト1位」となり、さらに、昨年2023年もワースト2位と不名誉な結果が続いているのだそうだ。京都市から若者と子育て世代が離れていく理由 という記事を読めば、確かに納得するところもある。

一方、コロナ以降、京都市に住みたいと考える外国人、実際に移住してくる外国人は急増しているようだ。国際結婚して10年以上グローバルノマド生活をしてきた僕も、息子が3歳になる時点での定住を考えた結果、世界中の多くの候補地から京都市を選んだ。

この記事では、外国人ファミリーや国際結婚した日本人の家族にとって、京都市が魅力的かつ住みやすい街である理由を解説していく。

フランス拠点のノマドから京都への移住

2022年10月の夏日に世界遺産「古都京都の文化財」の1つ清水寺で撮影した家族写真

参考までに、僕たちは定住先を考え始めた当初、京都への移住はまったく考えていなかった

日本にいる家族に会ったり、観光客として訪れたりすることは時々あったが、これまで南国を中心にノマド生活をしていたため、定住先も南国を候補にしていたのだ。中でも特に住みたいと考えていたのは、以下の4つの都市だ。

  1. タイ・プーケット
    美しい海とアットホームで国際的なコミュニティが魅力。
  2. マレーシア・クアラルンプール
    生活のしやすさと周辺国へのアクセスが抜群。
  3. ベトナム・ダナン
    物価に対する生活の質が素晴らしく開放的なビーチも素敵。
  4. 日本・那覇市
    日本の住みやすさと南国ライフの両立ができ、国際的。

僕はフランス人女性と国際結婚しており、英語とフランス語が話せる。また妻もフランス語、英語、スペイン語、ポルトガル語、日本語を話す。なので、言語の壁は気にせず、実際何度も訪れたことがある「暖かくて暮らしやすい都市」を検討していた。

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それなのに、5つ目の候補地として京都市が急浮上し、最終的には京都市への移住を決めた。京都市は世界的に見ても観光客が多く、魅力的な街であることは間違いない。ただ、実際住むとなるとどうなのか? 以下で、京都市に住む魅力や住みやすさについて解説していく。

京都市への移住を決めた5つの理由

京都・嵐山の渡月橋と緑豊かな山々、晴れた青空の美しい風景

京都への移住の決め手となった5つの理由は、以下の通りだ。

  1. 京都は伝統と国際性が融合した街
  2. 安全・安心で子育て支援も手厚い
  3. 国内外へのアクセスが抜群に良い
  4. 独創的ライフスタイルを楽しめる
  5. 出会いやビジネスチャンスが豊富

総合的に、京都はグローバルに見ても魅力的で住みやすい街だといえる。それぞれについて、さらに詳しく説明しよう。

理由1. 京都は伝統と国際性が融合した街

京都の小路を浴衣姿で歩く女性と手押し車、氷のマーク

京都は、日本の歴史的な伝統文化が色濃く残る一方で、現代的な国際性も持ち合わせている

京町家が立ち並ぶ美しい町並みや、着物を着た人々、生け花や茶道など、日本文化に日常的に触れられ、葵祭、祇園祭、時代祭といった「京の三大祭」や「五山送り火」などのイベントも毎年開催される。有名な寺社仏閣も多く、お花見や紅葉狩りを楽しめるスポットも豊富だ。

京都 祇園祭 四条通 山鉾巡行

京都嵐山・秋の桂川に浮かぶ屋形船

また、国際的なイベントや交流も盛んに行われている。京都市国際文化交流会館、国際会館、関西日仏学館、京都芸術センター、各大学キャンパスなどでは、外国人を含めた多様な人々が参加するイベントが年中開催されており、文化や芸術を通じた国際的な交流が活発だ

イベントに参加しなくても、街を歩いたり、和食屋に入ったり、公園や川沿いでのんびりするだけでも、外国人と触れ合える機会が多い。平日、京都御苑にある児童公園や鴨川の河川敷へ行くと、子連れの外国人ファミリーが大半を占めている光景を見かけることさえある

京都といえば「寺社仏閣が多く古臭いイメージ」「よそ者はお断りな雰囲気」を思い浮かべる人もいるが、外国人観光客たちが自然と街に溶け込み、グローバルに洗練されてきている。

つまり京都市では、日本の伝統文化を身近に感じながら、国際的な交流も日常的に持つことができる。これは、海外生活が長かった僕や、日本が好きなフランス人の妻、またグローバルに育って欲しい子供にとって、大きな魅力である。

理由2. 安全・安心で子育て支援も手厚い

京都は、台風や地震などによる自然災害が比較的少なく、閑静で治安の良い住宅街も多い

さらに、僕たちが住み始めたエリアは素晴らしい教育環境が整っている。保育園、学校、児童施設、公園が近くにあり、京都御苑、鴨川、植物園、動物園など、子供が遊ぶ場所も豊富だ。イベントも多く、子供に様々なアクティビティを経験させられるのが良い。

京都市動物園

また少し遠出をするだけで、滋賀県の琵琶湖畔や、鹿のいる奈良公園なども行ける。猛暑日の日数が日本一多いことでも有名な京都だが、琵琶湖の北西まで足を伸ばせば、5月~10月まで魚が泳いでいるのが見える綺麗なビーチで泳げる。冬にはスキー場にだって行ける。

京都市からアクセス抜群、夏は琵琶湖で水遊び

また、京都市は「子育て環境日本一に向けた取り組み」を実施しており、保育所や学童保育の充実を図り、待機児童対策で「10年連続、待機児童ゼロ」という一定の成果も出している。京都市の子育て支援ポータルサイト「はぐくーもKYOTO」、子育て応援パスポートアプリ「まもっぷ」には、子育て世代へのお役立ち情報がたくさん掲載されている。

未就学児のいる世帯で京都市に永住することも考えている人にとっては、京都市内の古民家や京町家を購入し、市内の事業者でリフォーム工事するなど条件を満たすと、100~200万円の補助金が貰える「京都安心すまい応援金」の制度も利用できる。

京都市子育て支援ポータルサイト「はぐくーもKYOTO」

出典:はぐくーもKYOTO

ラグジュアリーホテルなど「高級宿泊施設」の誘致にも積極的な京都市では、地価が高騰し、地元民の暮らしやすさが優先されていないとの声もあるが、市内の日本人人口が減少している一方、1人1人への教育環境・子育て支援サービスの質は改善されているのではないか

外国語を習得するための環境、外国人と話す機会、インターナショナルスクールが多いのも、京都市の特徴であり魅力でもある。留学生や観光客、移住者と交流できるチャンスは多い

そして、未就学児や小学生を対象とした医療費助成制度も充実している。海外生活の長かった僕が知らなかっただけかもしれないが、未就学児の通院医療費は自己負担額の上限が200円と聞いたときは驚いた。とにかく、子育て世代には嬉しいことが京都には盛り沢山なのだ

理由3. 国内外へのアクセスが抜群に良い

京都は、交通の利便性が非常に高い街だ。特に、僕たちのように国際的な活動をしている家族にとって、国内外への移動のしやすさは大きなポイントだ。車でも電車でも国内の主要都市や観光地へのアクセスが良く、沖縄に住む場合と比べて、日本のあちこちへ出かけやすい。また関西国際空港へは京都駅から「関空特急はるか」で約1時間半、海外の主要都市への直通便が多いので、妻の母国であるフランスやその他の国への移動がスムーズだ。

夕焼け空の関西国際空港

タイのプーケット、マレーシアのクアラルンプール、ベトナムのダナン、沖縄という4都市が移住先候補だったが、僕たちにとって、フランスへの直行便があるかないかも判断基準の1つだった。関西国際空港へのアクセスの良さは、間違いなく京都の魅力の1つとなっている

さらに、京都市は観光地としても国内外から多くの人々が訪れるため、交通インフラがかなり整備されている。東京のように複雑すぎて分かりにくいこともなく、タイムズレンタカーや、電動アシスト自転車・電動キックボードの貸出ポートなども充実している。車や自転車などを急いで買わなくても、海外から引っ越してすぐに満足度の高い生活を始められる。

【京都の桜】嵐電・北野線「桜のトンネル」を走る京紫色の車両と満開の桜の風景

理由4. 独創的ライフスタイルを楽しめる

京都では、伝統文化と現代のクリエイティブなライフスタイルが、あちこちで融合している。日本の伝統と世界の最先端を日々感じながら暮らせる京都は、特別な場所だ。

例えば、京町家をリノベーションしたアートギャラリー、コワーキングスペース、宿泊施設、カフェなど、日本の独創的な空間をライフスタイルの一部にできる。伝統とモダンな革新性が共存する京都という環境に身を置くことで、インスピレーションを得たり、新しいアイデアを形にしたりしやすくなり、高いモチベーションの維持にも役立つと考えた。

京都駅に映る青空と京都タワー

そもそも、京都には、古い文化を大切にしながらも新しいアイデアを取り入れる空気がある。伝統工芸と現代アートを融合させたイベントや、地元アーティストと世界中のクリエイターが交流するための機会も豊富にある。僕のようなフリーランスには、最高の環境だ

また、独創的なライフスタイルが街のあちこちで見られることは、大人にとってだけでなく、子供や学生にもメリットだ。自由な発想を育くむことに繋がり、自然と広い視野を持つようになると期待できる。

息子を肩車して平安神宮を散策

理由5. 出会いやビジネスチャンスが豊富

京都は「世界的に有名な観光地」というイメージが強いが、古くから大学や研究機関が多く、若者や留学生が集まりやすい街でもある。伝統産業、観光業に加えて、ハイテク産業、農業、和食文化関連のビジネス、教育・学術研究機関なども多い。そこへ近年、インバウンド需要も急激に伸び、再びチャンスが増えている印象だ。京都市が公開する 京町家の活用事例 を見ると、外から移り住んできて京都で新しいチャレンジをしている人たちも多くいる。

京町家のイメージ:京都市最古の町家 重要文化財 杉本家住宅

古くから京都に根ざして暮らす人もいる一方で、新しい意欲やアイデアを持つ人たちも絶えずやって来る。この京都という地で人々が交流し、新たなプロジェクトが生まれることは多い。積極的に動けば、出会いやビジネスチャンスはあちこちにある

また、様々なバックグラウンドを持つ人が集まる場所ということは、僕たちのような国際結婚をしている家族にとっても大きな魅力になる。外国人というだけで珍しがられることもなく、似たようなバックグラウンドや価値観を持つ人たちとの交流を見つけやすいからだ。

僕の妻も、着物の着付け教室に定期的に通うなど、様々な人との出会いを楽しんでいる。

5ヶ国語を話し友人を作るのが上手な母親の影響も大きい

京都で安定した職業に就き、様々なバックグラウンドを持つ人たちとの出会いはプライベートで楽しむというライフスタイルも可能だ。京都という街は、心機一転、移住して新しい生活を始める場所として「様々な人にとって多くの可能性」を秘めている場所なのだ。

京都市が外国人家族にとって住みやすい理由まとめ

快晴の京都府庁旧本館

京都市は、外国人や子育て世帯にとって住みやすい街として注目されており、家族の移住先として理想的な環境が整っている。豊かな文化と国際性、安全で安心な環境、さらにはビジネスチャンスに満ちた街として、移住先としての魅力は尽きない。僕たちグローバルノマド家族が京都への移住を決めたのも、これら5つの要素が揃っていたからだ

ただ、中には改善して欲しいと感じる部分があるのも事実だ。しかし、少なくとも今後数年は京都市での暮らしを楽しみながら、新しい未来を築いていきたいと感じている。移住先として最終的に京都市を選んだことは、間違いなく僕たちにとって大きな転機となるだろう。

今後、京都に家族で移住してきたことをきっかけに、京都の様々なことを紹介していきたいと考えているので、お楽しみに!