京都観光で地元民が「それ反対」と思う3つの観光パターン

僕は京都の嵯峨野で生まれ育ったため、小さい頃には良く、渡月橋の下で泳いで遊んでいたものだ。それから、自転車で田んぼ道を通りぬけながら 広沢池 まで行き、どんぐり拾いをしたり、スルメを糸でぶら下げてザリガニ釣りをしたりもした。しかし京都観光においては、地元民だからといって簡単に観光案内が出来るほど易しいものではない。

それぞれの寺社仏閣、位置関係、通り名、町名など、京都の観光案内をするために求められる知識は「京都御苑の参道の様に」幅広く、平安時代から戦国時代に関する歴史の知識、仏教や神道に関する知識、方位学や中国唐文化に関する知識など、知れば知るほどに奥が深くなるのだ。

参考:歴史的には794年に日本の首都に定められた都城・平安京

京都の観光案内には幅広い知識が必要

京都観光で地元民が感じる不思議

僕は「京都観光案内のプロ」というわけではないが、京都の地元民として29年という長い月日、近代京都の移り変わりを見てきた。直近は京都を離れたりもしているが、裏を返せば外部からの視点も手に入れ、一方、Airbnb のホストとして「30組以上の海外観光客」を接客した経験もある。

今回はそんな僕が、地元民として「京都まで来といて何て勿体ない…」と不思議にすら感じる「京都観光でそれだけは反対!」と思う3つの観光パターンを挙げる。地元民として反対する理由は詳しく述べているため、京都好きの方々にも共感してもらえると幸いだ。

1. 観光シーズンの京都を自家用車やレンタカーで回る

京都観光において「地元民が最も反対する」のがコレ。春の観光シーズン、秋の観光シーズンには自家用車やレンタカーを使ってはいけない。僕は地元民なので、桜シーズンであれ紅葉シーズンであれ、いつも自転車を愛用してきた。折角なので、僕の体験談を話そう。

京都の地元民は自転車が大好き

僕は自転車で出掛ける時、三条通りを西から東へ向かうことが多かった。観光シーズンには、この三条通りの「嵐山方面への車の大渋滞」がどこまで続くのか、興味を持って見ていたものだ。全く動けずに止まったままの自動車の縦列は、なんと天神川通りを越え、三条口近くまで続いていたこともある。さらにひどい時には、地元の交通ルールを知らない観光客が通り道を完全に塞いでしまい、嵐電(路面電車の愛称)まで動けなくなっていた。

さらに、大学生時代のある秋の日、僕が「宝筐院 の紅葉を見たい」と自転車で出掛けた時の体験を話そう。この日、僕が自転車で通り抜けた宝筐院までの道中(清涼寺へと続く一方通行の道)は「たくさんの地方ナンバーの車」で溢れかえっており、完全にストップしている状態だった。車の中は、沈黙の険悪なムードが漂うカップルばかりで、その次に、子どもを乗せた家族連れが多かった。僕は、その中でも一際目立っていた「喧嘩中のカップル」の車を自然と覚えていたのだが、なんと、僕が宝筐院の綺麗な紅葉をじっくりと見終えて帰る頃、そのカップルの車はまだ清凉寺前の渋滞の中だったのだ。

京都を車で観光することは観光シーズンは避けよう

先日、これらのことを個人タクシーの運転手に話すと「最近は観光客のマナーが向上してきて少しはマシになってきているよ」と仰っていたので、近頃の状況は改善しているらしい。しかし、観光シーズンの京都観光では、自家用車やレンタカーで移動をしてもロクなことはない。嵐電、京都市バス、地下鉄、タクシーなどを上手に使い、徒歩やレンタル自転車で見て回ることをおすすめする。

2. 金閣寺と清水寺のみを観光し京都駅がお土産の館

はじめて京都を観光する人に対して、この観光パターンを「それ絶対に反対!」とは言いにくいのかもしれない。なぜなら、このパターンは週末土日の2日間で京都の主要観光地を見て回るためのモデルコースとされているからだ。しかし僕は「人と同じことだけをする観光パターン」に対して、やはり反対せざるを得ない。そして、地元民たちは「京都の魅力はもっと他にある」と感じているはずだ。

一度は行ってみたい金閣寺(鹿苑寺)

例えば 金閣寺 を見たいと思うところまでは良いとしよう。しかし、次に向かう場所が清水寺では、京都について多くのことを知るための「絶好の機会」を自ら逃しているようなもの。もし金閣寺へ行くのであれば、事前に「金閣寺の持つ歴史的背景」を記憶から呼び覚ましてみよう。もしかするとほとんどの日本人には「足利将軍家の衰退の歴史を追いかける京都観光」の方が、面白いかもしれないのだ。

具体的には、先に「初代将軍・足利尊氏 の天竜寺」を訪れておき、本命「三代将軍・足利義満 の金閣寺」の後には、応仁の乱が勃発した「八代将軍・足利義政 の銀閣寺」へ行く。余裕があれば、「大本山である相国寺」を訪れるのも良いだろう。地元民の僕としては「闇雲に有名な観光地だけを訪れる京都観光」より、こういう「日本文化や歴史について記憶が残りやすい京都観光」をおすすめしたいのだ。

正直、地元のローカル誌や京都観光の情報誌は、新装オープンのホテル、お洒落なレストラン、流行りのお土産物などばかりが紹介されがちで、内容が薄っぺら過ぎる。個人的な経験として、「新しいお店の場所」や「人気のお土産品」など、観光客にとっては、大して「魅力的なもの」として映っていない。特に、海外からの外国人観光客にとっては尚更だ。

地元民には意外?京都駅ビルの建築構造は海外観光客に人気

そう言えば、京都駅ビルの設計をした 原広司 は世界的に有名な建築家だ。そして、地元民には意外かもしれないが、外国人観光客の間では、京都駅ビル自体が「1つの観光スポット」でもある。僕自身、Airbnb のゲストに繰り返し質問をされるまでは、あまり気に留めていなかった。実際、京都駅ビルが「いつ、誰に、どのようにして」設計されたのかを知る人など、地元民でも稀なのかもしれない。しかし今、僕は思う。京都駅は、決して単なる「お土産の館」ではない。東京駅がそうであるように、京都駅を「1つの観光スポット」として注目して欲しいと。そうすれば、きっと新たな発見があるだろう。

参考:京都駅ビル(JR西日本)は、日本の鉄道駅舎としては異例の国際指名コンペ方式で行われ、新駅ビル設計者には原広司、安藤忠雄、池原義郎、黒川紀章、ジェームス・スターリング、ベルナール・チュミ、ペーター・ブスマンの7名の複数の建築家が指名された。設計審査の結果、先ず原広司案、安藤案、スターリング案の3案に絞り込まれ、さらなる協議を経て、原広司案が最終案として採用された。

3. スターバックスなど外資系のチェーン店に入る

京都四条烏丸スターバックス

このことは京都観光に来たことのある人なら、地元民でなくてもご存知の方が多いだろう。京都には 景観規制のための特別条例 がある。そのため、ローソンなどのコンビニエンスストアに始まり、大手の居酒屋チェーンからドラッグストア、さらには、外資系チェーンのマクドナルドやスターバックスでさえ、特別に「京都らしい外観の店舗」を構えている。

そして、地元民が反対する観光パターンの3つ目がコレだ。「京都らしい外観の見慣れた店舗」が目に入り、折角の京都観光にも関わらず、チェーン店に入ってしまう観光客。しかし、京都観光をするなら「地元のお店」を利用して欲しいのは当然のことだ。例えば、湯豆腐と湯葉料理で店舗展開をしてきた人気上昇中の「」、昭和二十七年創業の「京都・小川珈琲」は僕のおすすめだ。また、黒毛和牛一頭買いで有名な「ミートショップ・ヒロの焼肉処」、寛政二年創業・福寿園の「伊右衛門サロン京都」など、有名どころも押さえておきたい。

また、もし京都観光をまるで地元民のように楽しみたいのであれば、四条烏丸の界隈を散歩し、自分自身でお気に入りのお店を見つけるのも悪くない。この辺りには地元民もおすすめできる「良いホテル」が数多くある。実は、綺麗な碁盤の目状をとる京都の街では、例えば2泊3日の旅行中、ホテルと駅との往復で「毎日別のルートを通る」といったことも可能だ。北から順に行くと、六角通り、錦小路通り、仏光寺通りなどで、東西に入ル。もしくは、東から順に行くと、花見小路通り、先斗町通り、麩屋町通りなどで、上ルか下ル。

上は一例にしか過ぎないが、もし京都観光をするなら、四条通りや河原町通りといった大通りばかりを使わず、ぜひとも「細い路地」にも足を延ばして欲しいもの。そして、京都とは縁のない「外資系チェーン」の利用は避け、地元のお店を利用して欲しい。

あとがき

僕は思う。現存する京都観光のモデルコースは「とりあえず有名観光地を回り、京都の地元限定のお土産を買わせる」という某ツアー会社のパッケージツアーの「成れの果て」だと。そんな観光パターンを参考にし、かつ、あまり計画も立てずに京都へ来てしまうと、自家用車(もしくはレンタカー)で渋滞に巻き込まれたり、大きな通り沿いのチェーン店ばかりに入ってしまう。これは悪循環だし、勿体ない。

地元民が反対する3つの京都観光パターン、もう一度おさらいをしよう。

そうだ、京都へ行こう。という急な京都観光をされる方は、ぜひご参考に。