日本の中等教育 (中学・高校) 6年間の学校生活における問題点とは?

日本の中等教育(中・高校)6年間の学校生活における問題点

先日、1番上の甥っ子が高校を卒業し、何かと 「問題点」 の多い日本の中等教育6年間に別れを告げた。僕も、海外の教育を見るようになって甥や姪の受ける日本の教育に関心を持つようになった。今回は、海外の教育と比較した日本の中学・高校6年間の学校生活の問題を話したい。

日本の教育における問題というと、小中学生によるいじめや、英語教育のレベルの低さ、遊びすぎる大学生といった話題が良く騒がれているが、今、個人的に自分自身の受けてきた教育を振り返ってみても、極めて異常だった時期は、中学・高校の6年間だったと言える。僕が高校を卒業してからは13年が経っているが、おそらく内情は変化していないだろう。

この記事は、多少議論を呼ぶ内容も含まれてはいるが、教育関係者及び中・高校生のお子様を持つ親御さんだけでなく、中・高校生自身にもぜひ読んで欲しい内容だ。

日本の中等教育は「規律」が異常に重視される

日本の中等教育では「規律」が異常に重視される

大人になると、久しぶりに会う甥っこや姪っこがどのように成長しているか見るのは、帰省のときの楽しみの1つだ。しかし、彼ら彼女らの成長は、中等教育の6年間に入ると思わぬ形で表れてくる。例えば、話の内容が勉強や部活の成績に限られたり、敬語を話し始めたりする。

僕自身も、学校では勉強と部活動で良い成績を取ることは大事と信じていたし、友人に大きなライバル心を持っていた。年上の相手であれば幼い頃から遊んでいた人でも敬語で話すことになった。日本の中等教育は決まった 「規律」 を教える場所ということなのか。それにしても、少し行き過ぎている。

中学生・高校生は、周りの友達や先輩後輩との成績を比較することに過敏になり過ぎており、グループの中での競争社会で精一杯の状態だ。そして 「学校の外の世界」 が見えなくなる。

もはや、最近どんなことをして遊んでいるか、お小遣いで買いたいモノは何か、といった話を振られても、中・高校生の反応はとても薄い。興味の中心は 「中学・高校という閉鎖世界の中」 へ移ってしまっているのだ。まるで学校生活がすべてかのように……

なぜ、多くの中・高校生は、学校生活がすべてかのような錯覚を起こすのだろう?

これでは、学校生活において気持ちの行き場がなくなる生徒がいても無理はない。いじめとか自殺、また日本の教育自体に悪影響を及ぼしているのも、これらの 「閉鎖的な環境」 から起因するものではないだろうか。

大学生からみた中学・高校6年間の学校生活とは?

大学生からみた中・高校6年間の学校生活とは?

僕は「名前を公表して堂々とインターネットを使う若者」がもっと増えて欲しいという思いもあり、自分の甥っ子と同じくらいの若い世代の発信するブログも、興味を持って読んでいる。

最近では、高校を卒業したばかりの大学生が、中・高6年間の学校生活を振り返って書いているブログを読んだ。彼らは匿名でブログを書いているが、誰かに思いを伝えたい気持ちは確実に表われている。次の文章はその抜粋である。

大学生になった今だからこそ言えるけど、今思えば中高の学校生活の息苦しさって異常だったと思う。ほんとよく6年間も通ってたな、自分。

友達を作って、授業を頑張って、それで満足したら駄目だ。そんな高校の延長みたいなことをしては駄目だ。断言できる。これが終わったら社会人になるということを意識した方が良い。

彼らは、中学・高校6年間の 「牢獄のような学校生活」 の被害者だ。幸いにも彼らは大学という全く異なる環境へ進んだことで 「友達を作り、授業や部活を頑張ることがすべてではない」 という気付きを得ているが、これこそ、日本では中等教育に最大の問題があるというサインだ。

つまり大学生が指摘する中学・高校の問題点とは、学校生活という枠を飛び越えて自由になるための機会が少ないということ。また、唯一、自由に考えて行動できるはずの夏休みでさえ、部活や課外活動は半強制的で、学校生活からは抜け出せない。これでは、日本の若者の視野が狭くなってしまうのも頷ける。籠の中の環境で受動的なまま 「6年間」 も過ごすのだから。

日本は学校生活の枠を飛び越えて自由になる機会が少ない

この問題点を、僕と似たような立場から、別の視点で語っている人たちがいる。

大学時代から私のことを知っている人は、「元気で明るい」というイメージを持っている人が多いと思います。しかし、中高時代は全く違いました。漠然と、「今いる場所よりもっと広い場所に行きたい」という窮屈感を持って生きていました。

日本で理科教師だった男が、「世界の中学・高校を回る」ことをテーマに世界一周して、22か国26校の訪問を終えて思うこと。クラブ活動を日本のように毎日している国は見受けられませんでした。

つまり日本の教育制度で「最重要の問題点」を挙げるとすれば、英語教育のレベルの低さでもなく、遊びすぎる大学生でもなく、古い体質の中等教育だ。

この問題点を解決するのは、文系理系の選択、海外留学などの「固定された選択肢」を追加で与えるやり方より、小学生のような自由研究のテーマを広げたり、修学旅行の代わりに自由に1人で旅をさせ、報告をプレゼンで発表させるといった「高等教育に近い枠組み」のはずだ。

高校を卒業した人たちにぜひ挑戦して欲しいこと

高校を卒業した人たちにぜひ挑戦して欲しいこと

中学・高校で我武者羅に6年間の学校生活を送ると、僕もそうだったが、その18歳の若者はまず 「井の中の蛙 (かわず) 」 の状態である。教室で習ったことは言うまでもなく、必死で部活動を頑張ってきた成果も、人生の目標を決める上で何かの役に立ってくれることは少ない。

もし中等教育の学校生活しか知らなかったのであれば、井の中の蛙であったことを潔く認めることから始めよう。その次は、とにかく社会を見て回ることだ。勉強を頑張るのも良いけど、まず視野を広げて欲しい。

あなたが大学生であれば、憧れるアルバイト、憧れるボランティア、憧れる場所への一人旅、憧れる大人との会話など、全てはキャンパスやサークル活動の外にある。後悔することなく、憧れるものには惜しみなくアプローチしよう。そして想像とは違ったなと感じたら、また別のことにもどんどん挑戦したら良い。

とにかく、高校を出てもすぐ別の井戸に入り、外の世界を見ないなんて勿体無い。最も厳しい環境の6年間を耐えたのだから、急がなければ本物の自由は手に入れられないだろう。多くの可能性をしっかり見つめ、日々経験することも自らの力で選択する人生を歩んで欲しい。

中高生が問題点を乗り越えるには

現代は知りたい情報をインターネットで簡単に調べられる時代であり、中学・高校生になればそれを実施できる能力は十分にある。もはや、古い体質の中等教育 (つまり学校で規律正しく6年間 「成績」 を競い合うという学校教育) などとっくに時代遅れなのだろう。

もちろん、この記事を読んだ中学・高校生には学校教育を投げ出したりして欲しくない。この記事は問題点のみに触れており、良いところは語っていない。それに、問題点は克服できないわけでもない。部活は形だけにして、それより社会を見て回ることを優先すれば良いのだ。

ここでたった1つ覚えておいて欲しいことは、中・高6年間の学校生活など 「人生の全て」 ではないどころか、むしろ 「人生のおまけ」 くらいでしかないということ。だからこそ、学校外にある世界も積極的に見るようにし、ぜひ視野を広げて欲しい。中・高生が挑戦したいことは、中学校や高校の外にもあるはずなのだから。